素晴らしき福島(避難指示区域の名所を思う)

南相馬市の塗装屋(有)原町美装の菅野です。
今日は、避難指示区域について書きたいと思います。
20km圏内の区域、加えて飯舘村や川俣町(一部)の様な計画的避難区域、どちらも、とても自然が豊かな地域です。
昔ながらの道具や風習を大切にしています。食べ物も、自分達で育てた米や野菜はもちろん、山々から取れる山菜やきのこも豊富です。牛や鶏なども盛んです。
そんな自然あふれ、自然と共に生きて来た人達が、(電気も都会の人よりずっと使っていないと思います。)原発の被害をもろに受けてしまうこと、大切に守ってきた自然から離され避難しなくては行けない事に、とても胸が痛み、やりきれない思いになります。

まずは飯舘村から書きたいと思います。ここ南相馬市原町区から飯舘村までは、わりとクネクネした山道の峠を通って行きます。運転するのはちょっとおっかないのですが、よく村の直売所に行きました。一番の目当ては、きのこです。飯舘村の山の中には、松茸はもちろん、様々なきのこが生息しています。秋になると様々な種類のきのこが直売所に並びます。特に菅野家で目当てにしていたのが、「イノハナ」と呼ばれる黒いキノコ。母は「イノハナ」の混ぜご飯が大好きでした。`キンモクセイの花の香りがする頃イノハナのキノコが採れる´と言うので、毎年秋になると、「そろそろキンモクセイの香りがするから…」と飯舘村に向かい、直売所をまわってイノハナを探すのでした。しかし、きのこ好きは多いみたいで、午前中に行っても既に売り切れていることが多々ありました。母は、きのこ採りにも挑戦していましたが、やはり村の人間でないと難しいみたいで、採れないで残念がって帰って来ていました。他にも、餅草を山程買って来て凍餅を作るのに使ったりしました。ここ数年で新しく出来た米粉のパンも好きでした。あとは、やはり飯舘牛。買って食べた事はあります
が、村にある飯舘牛のレストランに行けず終いのうちに、こんな事になってしまいました…。
双葉町や大熊町はタマゴが有名です。母は、わざわざ行って段ボールでタマゴを買って来ていました。たまごの里みたいな所があって、そこで売っているプリンも美味しかったです。また、ダチョウがいるところがあり、そこではダチョウのタマゴも売っています。タマゴ1個、確か3000円くらいで菅野家でも購入し、どうやって食べるか悩んだ挙句、卵焼きにして食べました。30センチはあっただろうその殻は、娘が遊んでいました。
富岡町には、桜の名所があります。夜ノ森公園という所です。公園の中での花見もいいですが、何と言っても「桜のトンネル(特に夜)」です!道路の左右両側に桜の木があり、夜はライトアップされ、車で通ると、桜のトンネルを通る感覚でとてもキレイでした。
浪江の請戸は鮭で有名です。鮭の溯上も間近で見られます。私ももちろん見に行った事がありますが、川を勢いよく上り、次々と飛び跳ねる大量の鮭の姿は、ものすごい生命力を感じ感動しました。その脇では、鮭のあら汁を振る舞っていて、有難くいただいたその味は、とても美味しかったです。

私が福島に住んだのは、たった5年です。しかし、福島の自然には本当に感動しました。そこに住む人達が、どれだけ自然を大切にして、自然と共に暮らしているか、近くで見て肌で感じました。
今日9時のNHKニュースでは、20km圏内が立ち入り禁止になるので、牛を置いて避難しなければ行けない事を悲しんでいる方が紹介されていました。その方が撮って来た牛の映像もあって、見ていてこちらも涙が出ました。あの牛たちも、どこか避難させてやれないのでしょうか。




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